はじめに
ものづくり補助金の申請では、事業計画に売上予測を明確に記載する必要があります。業種ごとに適切な売上計算式を使用することで、現実的かつ説得力のある計画書を作成できます。本記事では「労働集約型」「製造業」「サービス業」の3つの業種別に売上計算式とその応用例を解説します。
労働集約型業種の売上計算式
- 特徴
- 人の労働量が売上に大きく影響する業種
- 例:家庭教師派遣業、化粧品販売業、清掃サービス業
- 基本計算式
- 売上 = 従業員数 × 1人あたりの売上高
- 売上 = 稼働時間 × 時間あたりの売上高 × 従業員数
- 応用例
- 家庭教師派遣業:
- 従業員数:10人
- 1人あたりの売上:1か月15万円
- 計算:10人 × 15万円 × 12か月 = 年間売上1,800万円
- 化粧品販売業:
- 従業員数:5人
- 月間販売個数:1人あたり100個
- 1個あたり単価:3,000円
- 計算:5人 × 100個 × 3,000円 × 12か月 = 年間売上1,800万円
- 家庭教師派遣業:
製造業の売上計算式
- 特徴
- 設備や生産能力が売上に直結
- 例:自動車部品製造業、印刷業、食品加工業
- 基本計算式
- 売上 = 生産量 × 単価
- 売上 = 生産能力 × 稼働日数 × 稼働率 × 単価
- 応用例
- 自動車部品製造業:
- 1日の生産能力:200個
- 稼働日数:年間250日
- 単価:5,000円
- 計算:200個 × 250日 × 5,000円 = 年間売上2億5,000万円
- 食品加工業:
- 新設備導入で1日500個生産可能
- 稼働率:80%
- 単価:2,000円
- 計算:500個 × 250日 × 0.8 × 2,000円 = 年間売上2億円
- 自動車部品製造業:
サービス業の売上計算式
- 特徴
- 客単価や客数が売上に影響
- 例:美容院、飲食店、宿泊業
- 基本計算式
- 売上 = 客単価 × 客数 × 営業日数
- 売上 = 客単価 × 席数 × 回転数 × 営業日数
- 応用例
- 美容院:
- 席数:5席
- 1席あたりの回転数:2回/日
- 客単価:5,000円
- 営業日数:300日
- 計算:5席 × 2回 × 5,000円 × 300日 = 年間売上1,500万円
- 飲食店:
- 席数:20席
- 客単価:3,000円
- 1日3回転
- 営業日数:365日
- 計算:20席 × 3,000円 × 3回転 × 365日 = 年間売上6,570万円
- 美容院:
売上計算式の選び方と注意点
- 業種に適した計算式を選ぶ
- 労働依存度が高い業種では、従業員数を基準とする。
- 設備依存度が高い業種では、生産能力を基準とする。
- 顧客行動に依存する業種では、客単価と客数を基準とする。
- 具体的なデータを用いる
- 現状データをもとに予測を立てる。
- 例:昨年度の実績や市場調査データを参考にする。
- 新要素を加味する
- 新設備導入や新サービス追加による売上増加を反映。
- 例:新規顧客獲得や効率化によるコスト削減。
よくあるミスと改善方法
- 計算式が業種に適していない
- ミス:飲食店で生産能力ベースの計算式を使用。
- 改善:客単価と席数を基準にした計算に変更。
- 根拠が不足
- ミス:売上増加の理由が示されていない。
- 改善:新設備の生産能力や顧客ニーズを具体的に記載。
- 過度に楽観的な予測
- ミス:売上を一気に3倍にするなど、現実味に欠ける。
- 改善:段階的な成長を前提に計画を立てる。
まとめ
業種別に適した売上計算式を使用することで、審査員に説得力のある事業計画を作成できます。労働集約型、製造業、サービス業の特性に応じた計算方法を活用し、現実的な売上予測を立てましょう。次の記事では、説得力のあるタイトルや概要の付け方について解説します。
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